江本正志のページ

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アイルランドのビール

 さて、ここではイギリスではなく、アイルランドのビールを幾つかご紹介しましょう。但し、多くの皆さんは「アイルランドと言えばイギリス?」と思っていらっしゃる方も多いと思いますので、ビールをご紹介する前にアイルランドがどこにあるのか?そしてUnited Kingdom(UK)、Great Britain、England との関係はどうなっているのか?について説明しておきます。
 最初に言っておかなければならないのは、アイルランドとは、イギリスとは完全に独立した国だということです。多くの皆さんはGreat Britain とIreland をひっくるめてイギリスだと思っていらっしゃるかと思いますが、実はそうではありません。UK は通称イギリスと言っているもので、イングランド地方(England)、スコットランド地方(Scotland)、ウェールズ地方(Wales)、北アイルランド地方(Northern Ireland)の4つの地方から構成されています。言い換えれば、イギリス(UK)はGreat BritainとNorthern Ireland (北アイルランド)と言うことになります。更に言い換えれば、Great Britain はイングランド地方(England)、スコットランド地方(Scotland)、ウェールズ地方(Wales)の3つの地方から構成され、イギリス(UK)はそこに北アイルランド地方(Northern Ireland)が加わった国ということになります。ややこしいのは、アイルランド(Ireland)島が北部に位置する北アイルランド地方(Northern Ireland)と南側のアイルランド(Ireland)の2つから構成され、北アイルランド地方(Northern Ireland)はイギリス(UK)に属するのに対し、アイルランド(Ireland)はイギリス(UK)とは全く異なった国だということです。
 頭がこんがらがった方も多くいらっしゃると思いますが、上述したことを頭の中で整理してから、ビールの説明をお読みください。


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001[3] これは皆さんご存知の Guinness ビール(アルコール度数は4.5 %)です。Guinness はイギリスのビールだと思っていらっしゃる方が殆どだと思いますが、実はイギリスのビールではなく、アイルランドのビールになります。このビールはスタウトと呼ばれる種類の上面発酵ビールで、アーサー・ギネスが考案したものです。アーサー・ギネスは1759年からダブリンにある聖ジェームズ・ゲート醸造所でこのビールの醸造を始めたとされています。このビールの特徴は麦芽を使用せず(麦芽には税金がかかりますが、それ以外には税金がかからないため)、大麦を直接ローストして造ってあるところです。黒い色をしていますが、非常にきめの細かい白い泡のビールです。このきめの細かさは他のビールとは比べ物になりませんが、それには訳があります。このビールの容器の中には窒素ガス入りのカプセル(フローティング ウィジェットと言います)が入っており、栓を開けると同時にこのカプセルが破裂し、このきめの細かい泡が誕生するのです。人口的な泡なので、いま一つという気もしますが、尋常ではないこのきめの細かさが人々の心を魅了していることは間違いありません。但し、味はいま一つで、このビールが何故これだけ世に知られているのか全く分からない位美味しくありません。全てにおいて中途半端な味と言えばいいのでしょうか・・・。上面発酵ですから、ホップのアロマの香りがあまりしないのは分かりますが、黒色であるにも関わらずコクがあまりなく、どちらかと言うとそっけない味です。程良い苦味と濃厚な味、そして甘みはあるものの、キレと喉ごしがいま一つで、決してお勧めできるビールではありません。但し、よ~く味わってみると、ミルクの香りを伴ったブラックコーヒーのような味がしますので、それはそれで楽しめるかもわかりませんし、あまりビールという感じがしないため、ビールがあまり好きではない人にお勧めのビールかも知れません。このように、Guinessはあまりお勧め出来るビールではありませんが、今では世界各国で醸造されており、国によって味が全く異なるようですので、各国のGuiness を試し飲みしてみると結構いけるGuinessに出会うかもわかりません(因みに、ナイジェリアで醸造されているGuinessはアルコール度数が8%と非常に高くなっています)。 Guinness ビールの Web site はこちらです。→ http://www.guinness.com/


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002[1] これは、Murphy’s Irish Stout という1856に創業を開始したアイルランドでも有数のコーク醸造所で James J. Murphy の手により誕生したビールで、2002 年の英国ブライトン市で開催された国際ビールオリンピックで栄えある金賞を受賞した Stout (スタウト)です。スタウトは、エールを代表するスタイルの1つ、ポーターを更に進化させたスタイルのビールです。焦がした大麦を使用しているため、ロースト香が漂う、ドライな味わいのビールですが、コーヒーやチョコレートにも似た香りのする不思議なビールです。アルコール度数は 4 % と低めになっています。先にご紹介したGuiness と同じく、こちらのビールも瓶ではなく、シルキーな泡を堪能してもらうために缶に入っています。Guiness と同様、缶の中にはフローティング・ウィジェット(別名ナイトロジェン・ウィジェット)というものが入っています。これは Guiness のところでも説明しましたが、窒素ガスを充てんした特殊なプラスティック玉がこの缶の中に入っていて、缶を開けると窒素ガスが一気に噴き出す仕組みになっています。そのため、イングリッシュ・パブで飲む時のようななめらかでクリーミーなビールを味わうことができます。では、Guiness とどう違うの?ということになりますが、大雑把に言うと、Guiness を少し濃厚にしたような味と言うことになりましょうか・・・。Guiness よりもこちらのビールのほうが苦味は少なく、美味しいと言うことになります。このビールだけでアイルランドのビールを語ることはできませんが、これだけ有名なのに、この程度の味ということですから、他のアイルランドのビールもあまり期待出来ません。Murphy’s Irish Stout の Web site はこちらです → http://www.murphys.com/ ここでは、自分の住んでいる国名と生まれた年を入力することが出来ませんので、18歳未満の方は18歳以上になるように生まれた年を入力して中に入ってください。


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003 これはアイルランドにある Carlow Brewering Company(1740 年に醸造開始)という醸造所で醸造されたアルコール度数が 4.5 % の County Carlow Irish Stout です。アイルランドのビールとあって、色は真っ黒で泡が非常にきめ細かいビールです。見た目は濃厚そうですが、味は非常にライトで、Guiness Beer (ギネス)と非常に良く似たビールです。このビールには小麦も入っているのが特徴です、ローストした麦芽の香りが強く、この類のビールにしてはホップの香りが程良いビールです。コクはあまりありませんが、キレが良く、喉ごしもまずまずのビールです。ホップの香りがかなりするのに対し、にがみは少なく、甘みのあるビールです。 Stout としては上出来なビールですが、Guiness Beer (ギネス)と同じで、黒ビールのようなのに、さっぱりとし過ぎていて、そのギャップに苦しむビールと言えます。飲み干した後にコーヒーとチョコレートの香りが口の中に広がるのがこのビールの特徴です(尤も、アイルランドのビールはこの類が多いようですが・・・)。どんな賞なのかは分かりませんが、 2010 年の International Beer Challenge の銅賞に輝いたことのあるビールだそうです。Carlow Brewering Company で確かに写真にあるビールは醸造されているのですが、現在この醸造所で主に醸造しているものは O’hara’s というビールです。そのため、Carlow Brewering Company の Web site を覘いても写真にあるビールは紹介されていません。Carlow Brewering Company の Web site はこちらです → http://www.carlowbrewing.com/


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