江本正志のページ

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ワルシャワ

みなさんはワルシャワと言えば何を思い浮かべますか?クラシック音楽が好きな人であれば、真っ先に「ショパン!」と答えるでしょう。偉大な作曲家、ショパンはポーランドのワルシャワで生まれたんですよね。天文学者のコペルニクスや物理学者のキューリー夫妻(夫人)なんかも有名ですよね。

 

僕がワルシャワを訪れた時に大層感銘を受けたところがあります。それは、旧市街にキューリー夫人の博物館があるのですが、そこにキューリー夫人とマックスプランク、そしてなんとアインシュタインが一緒に写っている写真が飾られていたのです。3人共勿論ノーベル賞学者ですし、何といっても僕が最も尊敬するアインシュタインに、勤務していたマックスプランク研究所の創始者であるマックスプランク、そしてあの有名なキューリー夫人が一緒に写真に写っていたのですから、大層感激しました。ワルシャワと言えば、暗いイメージばかりのように思うかも知れませんが、そんな中でも天才学者を輩出した街として非常に有名なんです。

 

ところで、ポーランドにはドイツやチェコに引けを取らないことで知られているものがあります。それは、ビールです。なかなかの絶品揃いですから、ポーランドを訪ねた際には是非ビールをご堪能ください。ポーランド語でビールはPiwo (ピーボ)と言いますが、ビール好きの僕が真っ先に覚えたのは、「ビールくださ~い」でした。

 

ワルシャワと言えば、上述したようにいいことばかりではありません。寧ろ、暗い過去を持った街と言えます。第二次世界大戦の際にはヒトラー率いるナチスドイツ軍とスターリン率いるソビエト連邦軍が1939年にポーランドに侵入し、ワルシャワの街は殆ど崩壊してしまいました。時は変わって1944年8月1日17時。ワルシャワ蜂起が行われました。ワルシャワ蜂起とは、簡単に言えば、ワルシャワ市民が立ち上がり、一致団結してナチスドイツ軍に一斉攻撃を行ったことを指します。奮闘の末、ナチスドイツ軍に対して大打撃を与えましたが、後方から援護射撃をしてくれる筈だったスターリン率いるソビエト連邦軍が全く援護射撃をしてくれなかったことから、死者は20万人にも及びました。この日を記念して、今でも8月1日の17時になるとワルシャワの街は1分間だけですが、完全に時が止まります。時が止まるというと少し語弊がありますが、サイレンが街中に鳴り響き、ワルシャワ市民はその場に立ち尽くし、1分間身動きをせず、じっと立ち止った状態になります。これは時刻 W と呼ばれています。W はワルシャワ、即ち Warszawa の頭文字から来ています。

 

このようにワルシャワには暗い過去がありますが、戦後市民の手で瓦礫の中から1つずつレンガを拾っては、元の建物に戻し、出来る限り戦前と同じになるように建物を立て直し、美しかった旧市街を復興させたのです。残された絵画・スケッチ・人々の記憶を元にし、あらゆるものを参考にして中世の街並みを復興したのですが、壁のひびや色あせた瓦屋根まで忠実に再現しているのですから、本当に凄いものです。

 

ワルシャワ駅に程近い所は今では高い建物が幾つも建設されていますが、少し前までは文化科学宮殿(かつてはヨーロッパ最大とも言われていました:建物がケーキのようなので、ウェディングケーキ様式と言われています: 37 階建てで、今でもワルシャワ1高い建物で、展望には最適です。中には 3,300 もの部屋があり、コンサートホール・劇場・レストラン・ホテル等が入っています)という大きな建物しかありませんでした。ワルシャワの駅を降りるとすぐに立派な建物が目に飛び込んできますのでとても印象的ですが、ワルシャワの人達にとってはこの建物程目障りなものはないと言われています。何故なら、憎きスターリンからの贈り物だからです。そのため、ソ連が建てた「ワルシャワの墓石」と市民からは呼ばれています。ワルシャワには軍事博物館もあります。第二次世界大戦当時の戦車や戦闘機等がここで見られます。

 

 

ワルシャワと聞くと暗い気持ちになるかもわかりませんが、行ってみればワルシャワのイメージが大きく変わることは間違いありません。例えば、ワジェンキ(お風呂の意)公園なんかはなかなか落ち着く場所です。公園内にはかの有名な柳の下に腰掛けるショパンの像もありますし、リスがちょろちょろしています。男性も女性もとても素敵ですし、とても親切です。素敵な時を過ごすことは間違いありませんので、躊躇することなく、ワルシャワに足を運んでみてください。

 


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